ブロックチェーンの手数料はなぜ変わる?安く抑えるコツ
ネットワーク手数料で何を買っているのか、ビットコインやイーサリアム、ロールアップ、TRON、Solana、Stellarの料金の決まり方、混雑で上がる理由と節約のコツを解説します。

このページの内容
同じコインを数週間あけて2回送ると、手数料が何倍も違うことがあります。どのブロックチェーンも取引を載せられる容量には限りがあり、手数料はその枠を確保するための料金です。
このガイドでは、手数料で何を買っているのか、ビットコイン、イーサリアム、レイヤー2のロールアップ、TRON、Solana、Stellarがそれぞれどう料金を決めているのか、混雑すると手数料が上がる理由、そして安く抑える方法を説明します。数値は2026年9月29日時点のものです。
要点
- 手数料で買っているのはブロックの空きスペースです。スペースには限りがあるため、入りたい人が収まる数を上回ると価格が上がります。
- スペースの測り方はネットワークごとに異なります。ビットコインはサイズ、イーサリアムはガス、TRONは帯域幅とエネルギー、Solanaは署名、Stellarはオペレーションで測ります。
- ネットワーク手数料は、送る金額ではなく、取引に必要なスペースや計算量で決まります。
- レイヤー2のロールアップは、イーサリアムにデータを載せる費用を多くの利用者で分け合うため、手数料は通常ずっと安くなります。
- 安く抑えるには、適したネットワークを選び、空いている時間に送り、少額の送金を何度も繰り返さず、確定前に手数料を確認しましょう。
手数料で実際に買っているもの
ブロックチェーンは、取引を「ブロック」という単位でまとめて追加します。各ブロックには容量の上限があります。ビットコインではおよそ10分ごとに、最大400万ウェイトユニットのブロックが作られます。イーサリアムでは12秒ごとにブロックが作られ、それぞれにガスの上限があります。単位は違っても、スペースは希少で、手数料はその一部を得るための入札です。
手数料にはスパム対策の役割もあります。Bitcoin.orgによると、手数料は「ネットワークを過負荷にしようと取引を送りつける利用者」からネットワークを守ります。手数料はネットワークによって、マイナーやバリデーターに支払われたり、バーン(焼却)されたり、その両方に分けられたりします。
日常的に使ううえで一番大事なのは、手数料は金額ではなく、取引が使うスペースや計算量で決まるという点です。0.01 BTCを送っても10 BTCを送っても、手数料が同じになることがあります。
マインドマップ:手数料で支払うもの
- ビットコイン
- 仮想バイト単位のサイズ
- イーサリアム
- ガス:基本料金+チップ
- レイヤー2ロールアップ
- 自前のガス+イーサリアムのデータ
- TRON
- 帯域幅とエネルギー
- Solana
- 署名+優先手数料
- Stellar
- オペレーション
ビットコイン:サイズに応じてsat/vBで支払う
ビットコインの手数料は「サイズ×料率」です。サイズは仮想バイト(vB)で測ります。これはSegWitアップグレード(BIP 141)で定義された単位で、署名データを割り引いて数えます。料率は仮想バイトあたりのサトシ数、つまりsat/vBで表します。1サトシは1億分の1ビットコインです。
最近のSegWitアドレスからの簡単な支払い(入力を1つ使い、支払い先とおつりの2つの出力を作るもの)は約140 vBです。2 sat/vBなら約280サトシ、50 sat/vBなら約7,000サトシかかります。取引を大きくするのは主に入力の数(その取引が使う過去の受け取り分)で、送る金額ではありません。
未承認の取引はメンプールで待ちます。メンプールは、次のブロックに入る資格のある取引を各ノードが保持している集まりです。マイナーは一般に料率の高い取引から順にブロックを埋めるため、メンプールが混んでいると、ほかの全員と競り合うことになります。4回目の半減期だった2024年4月20日、ブロック840,000の料率の中央値は約200 sat/vBでした。2026年9月29日には、次のブロックに入るためのmempool.spaceの推定値は1 sat/vBでした。
手数料はマイナーの収入の一部でもあります。詳しくはビットコインの発行上限2100万枚と半減期をご覧ください。
イーサリアムとレイヤー2:ガス、基本料金、チップ
イーサリアムは処理の量をガスで測ります。ETHを送るだけの単純な送金は21,000ガスを使い、トークンの送金やスワップはそれ以上を使います。手数料は、使ったガスに2つの価格の合計、つまり基本料金(ベースフィー)と優先手数料(チップ)を掛けたものです。価格はgwei(10億分の1 ETH)で表します。
基本料金はあなたではなくプロトコルが決め、バーンされます。EIP-1559では、各ブロックに上限の半分のガス目標があります。ブロックが目標より多く使えば次の基本料金は上がり、完全に埋まったブロックの後では最大12.5%上がります。目標より少なければ下がります。チップはあなたの取引を取り込んだバリデーターに支払われ、多くの人が同時に競い合うときに特に効いてきます。
出典:EIP-1559の手数料ルール(満杯1ブロックごとに12.5%)
| 開始時を100とした値(%) | |
|---|---|
| 0 | 100 |
| 1 | 112.5 |
| 2 | 126.6 |
| 3 | 142.4 |
| 4 | 160.2 |
| 5 | 180.2 |
| 6 | 202.7 |
| 7 | 228.1 |
| 8 | 256.6 |
満杯のブロックが8つ続くのにかかるのは約96秒で、その間に基本料金は2.5倍を超えます。そのためウォレットは余裕を持たせた上限手数料を設定します。実際に支払うのは基本料金とチップだけで、残りは払い戻されます。
レイヤー2のロールアップ
レイヤー2は、イーサリアムを拡張し、そのセキュリティを引き継ぐ別のネットワークです。レイヤー2の一種であるロールアップは、数百件の取引をイーサリアム上の1件の取引にまとめるため、その費用をまとめられた全員で分け合えます。たとえばOP Mainnetでは、手数料の主な内訳は、イーサリアムのガスと同じように計算される実行手数料と、データをイーサリアムに載せるための料金です。
2024年3月13日のイーサリアムのDencunアップグレード以降、ロールアップはこのデータを「ブロブ」として載せられるようになりました。ブロブは約18日間保存される一時的なデータで、独自の手数料市場を持っています。ethereum.orgによると、これによって「レイヤー2ロールアップの利用者の取引手数料が大幅に下がる」とされています。それでも、ロールアップ自体やブロブのスペースが混雑すれば、ロールアップの手数料も上がります。
TRON、Solana、Stellar
TRON:帯域幅とエネルギー
TRONは2つのリソースで料金を取ります。帯域幅は取引のサイズ(バイト数)、エネルギーはスマートコントラクトが行う計算に対応します。単純なTRX送金に必要なのは帯域幅だけです。一方、TRON上のUSDTのようなトークン送金はスマートコントラクトを実行するため、エネルギーも必要です。
各アカウントには、直近24時間のローリング枠で600ポイントの帯域幅が無料で付与されます。それを超える分は、TRXをステーキングしてリソースを得るか、そうでなければネットワークが残高からTRXをバーンして支払います。2026年9月時点のレートは、帯域幅1バイトあたり0.001 TRX、エネルギー1単位あたり0.0001 TRXです。これらのレートはネットワークのパラメーターで、ガバナンスの提案によって変更されることがあります。
それでもコストは動きます。TRONの動的エネルギーモデルでは、よく使われるコントラクトは基本エネルギーの最大4.4倍のコストがかかることがあり、この倍率は6時間ごとに再計算されます。また、TRONで一度も使われていないアドレスへ送る場合は、送金がそのアカウントを有効化するため、追加の費用がかかります。
Solana:基本手数料と優先手数料
Solanaの取引はすべて、署名1つにつき5,000ランポート、つまり0.000005 SOLの基本手数料を払います(1ランポートは10億分の1 SOL)。半分はバーンされ、残り半分はバリデーターに支払われます。さらに優先手数料を上乗せでき、これは要求する計算ユニットあたりの価格で決まります。優先手数料を付けると、その時点でブロックを作っているバリデーターが、ほかの取引より先にあなたの取引を処理する可能性が高まります。優先手数料は全額がそのバリデーターに支払われます。
まだそのトークンを持ったことがない相手に送る場合は、相手のためにトークンアカウントを作る必要があります。このアカウントには約0.002 SOLの最低残高が必要なため、費用が増えることがあります。
Stellar:ごく小さな基本手数料と混雑時の料金
Stellarはオペレーション単位で手数料を取り、1つの取引に複数のオペレーションを含められます。ネットワークの最低料金はオペレーション1つにつき100ストループ、つまり0.00001 XLMです。1ストループは、Stellarのコインであるルーメンの1,000万分の1です。支払ってもよい上限は自分で設定しますが、通常は最低料金だけで済みます。
Stellarではブロックを「レジャー」と呼びます。1つのレジャーに収まる数を超える通常のオペレーションが送られると(2026年7月時点のメインネットでは1,000)、サージプライシングが始まります。取引は手数料の高い順に並べられ、取り込まれた取引はすべて、その中で最も低い手数料を支払います。スマートコントラクトの取引は、さらにリソース手数料を支払います。
混雑で価格が動く理由
これらの仕組みはどれも、スペースを上回る取引が集まるという同じ圧力に反応しています。ビットコイン、Solanaの優先手数料、Stellarのサージプライシングのようなオークション型の市場では、送信者どうしが競り合います。イーサリアムでは、需要が落ち着くまでプロトコル自体がブロックごとに基本料金を引き上げます。TRONは単価をガバナンスで決めているため、利用の集中は人気のコントラクトのエネルギーコストの上昇として表れます。
- 需要が急増する (新トークンの発行や相場の急変)
- ブロックが埋まる (スペースを上回る取引)
- 価格が上がる (入札額や基本料金が上昇)
- 安い取引は待たされる (様子を見るか上乗せする)
- 需要が落ち着く (手数料が下がっていく)
こうした混雑は突然やってきて、需要が落ち着けば引いていきます。1分前に表示された手数料がもう古くなっていることがあるのはそのためです。
ネットワークの比較
プロトコルの数値は2026年9月29日時点のものです。送金に実際いくらかかるかは需要とコインの価格によって変わるため、最後の列は相対的なコストだけを示しています。
| ネットワーク | 公表されている価格または最低額 | 相対的なコスト |
|---|---|---|
| ビットコイン | 固定価格なし。sat/vBで入札 | 空いていれば安く、ブロックが埋まると高い |
| イーサリアム | 単純な送金は21,000ガス×(基本料金+チップ) | 需要次第で変動し、数分で急騰することも |
| レイヤー2ロールアップ | 各ロールアップが設定 | 通常はイーサリアムよりはるかに安い |
| TRON | 1日600の帯域幅は無料。超過分は1バイト0.001 TRX、エネルギー1単位0.0001 TRX | TRX送金は無料のことが多く、トークン送金は高め |
| Solana | 署名1つにつき5,000ランポート | ごく安い。優先手数料を付けると上がる |
| Stellar | オペレーション1つにつき100ストループ | ごく安い。サージプライシング時は上がる |

手数料を安く抑える方法
ネットワークを選ぶ
USDTやUSDCなど多くのコインやステーブルコインは複数のネットワーク上に存在し、同じトークンでもネットワークによって送金コストが大きく違います。受取人が対応していれば、安いネットワークを選ぶだけで大きく節約できます。
受取先のアドレスが対応していないネットワークでコインを送ってはいけません。事前に受取人とネットワークを確認してください。誤ったネットワークで送ると、資金が戻らないことがあります。
タイミングを選ぶ
急ぎでなければ、空いている時間まで待ちましょう。ビットコインとイーサリアムの手数料は数分単位で需要に反応し、ウォレットの推定値で今の水準がわかります。ビットコインでは、承認までの目標時間を長めにすると、たいてい料率が下がります。
回数を減らしてまとめて送る
取引は金額にかかわらず1件ごとに手数料がかかるため、少額の送金を10回行うと、1回のおよそ10倍の手数料がかかります。ビットコインでは、少額の入金を何度も受け取ると入力が増え、後の取引が大きく、高くなります。
確定前に手数料を確認する
ネットワーク手数料、残高から差し引かれる合計、受取人が受け取る金額を確認しましょう。良いウォレットは、確定する前にこの3つを表示します。nowcoinでは「出金」画面にこの3つが表示され、手数料が変わった場合はもう一度確定するよう求められます。
よくある質問
送る金額が多いと手数料も高くなりますか?
ネットワーク手数料は高くなりません。手数料は取引のサイズや計算量で決まり、金額では決まらないからです。ただし、サービスによっては独自の料金を上乗せすることがあります。
手数料を低く設定しすぎるとどうなりますか?
取引は待たされます。ビットコインでは料率が下がるまでメンプールに残ることがあり、多くのウォレットでは手数料を上げた取引に置き換えられます(Replace-by-Fee、BIP 125)。イーサリアムでは、上限手数料が基本料金を下回る取引は、基本料金が下がるまでブロックに取り込まれません。
TRONでUSDTを送るとTRXより高くなるのはなぜですか?
TRXの送金に必要なのは帯域幅だけで、1日の無料枠でまかなえることがあります。USDTの送金はスマートコントラクトを実行するためエネルギーも必要で、エネルギー用にTRXをステーキングしていなければ、ネットワークがTRXをバーンして支払います。
出典
- Bitcoin developer documentation: Transaction fees and change
- Bitcoin developer documentation: Memory pool
- Bitcoin BIPs: BIP 141, Segregated Witness
- Bitcoin BIPs: BIP 125, Opt-in Full Replace-by-Fee Signaling
- mempool.space: ブロック840,000
- mempool.space: ビットコインの手数料推定
- ethereum.org: Gas and fees
- Ethereum Improvement Proposals: EIP-1559, Fee market change for ETH 1.0 chain
- Ethereum Improvement Proposals: EIP-4844, Shard Blob Transactions
- ethereum.org: What is layer 2?
- ethereum.org: The history of Ethereum
- Optimism Docs: Transaction fees on OP Mainnet
- TRON Developer Hub: Resource model
- TRON Developer Hub: Paying for resources and Energy sharing
- TRON Developer Hub: Fee limit and Energy cost
- Solana Docs: Fees
- Solana Docs: Accounts
- Stellar Docs: Fees, resource limits and metering


